SFなんかに、「物質転送機」というものが出てきます。
物体を情報化して、瞬時ににして遠く離れた地に物体を転送できるというもののようです。
そういうので人間が移動したりすることもあるようですが、
それってつまり、転送元で殺して転送先で作り直してるってことやん、思います。
転送元では、人が一人殺されているにもかかわらず、転送先で出てきた人は、
「いやぁ、便利な世の中になったもんだネェ」とか言って、でてくるわけです。
それを見ている人たちは「うーん、安全性もだいじょぶみたい」
「じゃあ、ボクも利用してみようか」とか、思うわけです。
いやぁ、未来って恐いなぁ、と、思うんですが。
今生きている自分だって、あるいはそれに似たことを行っているのかもしれないと。
転送先の人間は、以前の自分が破壊されているという自覚は無いわけですし。


なんというか、そんな装置があるってことは人間の複製もさくっと作れるってことで、
人間の解析やデータ変更もさくっとできそうだし、
完璧な医療ってのもさくっと実現されてそうな感じがします。
そうなると放っておいたら誰も死なねーよ人口大爆発で食糧危機で全滅で大変なので、
(食料もさくっとコピーできるやんというツッコミは脇に置いといて)
寿命の代わりに期限付き生存権みたいなものが、法的に策定されるかもしれません。
死生観も現代とはかなり異なった感じで、より合理化されたものになるような気がします。
少なくとも身体については、単なる「もの」として取り扱う傾向が高まるのでは。
人の生命というものがある人格の軌跡、心、文化といったもので定義されるとすれば、
物質転送機を利用することも、恐れることではないのかもしれません。
そういう世界の人々から見た場合、肉体というものに執着のある(少なくとも
うつろは執着している)現代はまだまだ宗教くさい、迷信じみた世界のように
思われるのかもしれないと思ったりしました。


ああ、本当は「記」にしようと思って静かに暖めていたネタだったのに…