まあ、

ステラはエンディングで生き返っちゃったりするわけですが、それはともかく。


英雄的立場から一転、傷つけたくない仲間を傷つけ、恨まれ、敵に媚び入って
一人黙々と研究を続け、得た力は他人に譲り渡し、自分は死に、そして汚名を濯ぐ機会も求めない。
これほど深い自己犠牲はなかなか無いです。なんといい人でしょうか!


厚い信頼を受けて意気揚々と出陣するステラと、運命を宣告された時のギャップ、
敵として振舞いながらも不必要に人を傷つけず、しかし必要とあれば殺すことも辞さない、
一貫した意志と底流にある優しさ、それを押し隠して歪んだ精神を装い、皮肉めいた言葉を並べ、
自己保身を求めているかのように裏切りを正当化する理屈をこねる。最も醜い人間として。


まあ、とにかく、いいんです。この人が。


構成・伏線・セリフ回しが、非常によくできたシナリオでした。
個人的にはこの作品にグランプリをあげてほしかったなあ的な感じなのですが、
佳作止まりなのはおそらく、舞台が剣と魔法のファンタジーで新鮮さに欠けたこと、
当時の審査員はその定番的な舞台の作品があまりに多すぎて食傷気味であったこと、
あたりがまずかったんだろうなと思います。