「原爆は仕様がなかった。」

発言に対する批判について。


原爆はダメだ。焼夷弾で街ごと焼き払うならまあ悪くはなかった。ということなのだろうか。
それが違うというのなら、まるでアメリカは日本を攻撃するべきでは無かったとでも言っているかのようだ。


民間人を多数殺害したからダメだと言っているだろうか。第三者の立場であれば、その主張は聞き入れてもいい。
しかし、世代が違うとはいえ日本がそれをアメリカに言うのは、ちょっと可笑しい。悪い冗談だろう。
日本が始めて、やめなかった戦いなのだから。
悪かったのは統治者で、我々は悪くないのになぜ傷つけたなどと、どの面下げて主張するつもりか。


核兵器は、いかなる状況においても用いるべきではない。それは確かだと思う。
20世紀後半以降の認識においては。


もし、原爆を落とされなかったら。
日本はいつ、戦争をやめただろうか。


日本人は自国の損害ばかり話題にしたがるが、相手の気持ちをちゃんと考えているのだろうか。
(普通の)爆弾1個作るのだってタダではない。兵装が優れているからといって、完全無傷で済むわけでもない。
アンフェアな手続きで開戦し、勝つ見込みが無いにも関わらず戦いを止めない敵国に、
手心を加える必要がどれだけあるのだろうか。
もっと早く止めていれば、原爆は落ちなかったのに。


しかし、当時の軍部は止めなかった。止めなかったことにも、私は一定の理があると思っている。
捕まれば殺されると思っている人間が、武器を捨てて投降することがあるだろうか。
止めれば半世紀後にこうなると知っていれば、止めたのかもしれない。
あるいはひょっとすると、敗北したことでもう日本という国はその時殺されたのかもしれない。
今の日本は昔の日本を継承した別の国で、近現代日本人が創建し、目指した国は、
戦争に負けたことで死んだのかもしれない。


別にいい。それがどうであっても私にとっては単なる歴史に過ぎず、今の生活には関係ない。
しかし日本は本来、アメリカの攻撃を強く非難できる立場にはない、と思う。
許されるのは理解を求めることまでであって、あなたが悪いなどと偉そうなことを言うのはいかがなものか、と。


「悪いのは重々承知の上で、それでも批判しない訳にはいかない」というのならば、わかる。



政治家が使ってはいけない言葉だったのかもしれないが、ただ単純に原爆は悪いと信じている人間と、
しょうがないという感想が出てくる人間と、どちらがものを考えていると思うのか。そんな事―分かれッ! と言いたい。