巡視船衝突のはなし

月イチ投稿なんてあんまりだ。


中国漁船の巡視船衝突の件について、感じた事をぐだぐだ書いてみる。
以下に書く事は要するに、何が正しいのかもどうすべきだったのかもよくわからん、という事です。

ビデオ公開の是非について、その適切な時期について

世間では比較的、公開すべきという論調が強い感じなのだけれど、私はどうもその辺、
どういう対応がベストなのか、あるいはベターなのか、適切な答えがでない感じだったりする。


初手で公開すべきだったという主張がある。私も、分かりやすさという点からそれに
賛同する気持ちがある。しかし公開はされなかった。政府の判断であっただろう。なぜだろう。
中国を刺激したくなかったからという推測がある。尖閣諸島の領有権が確固として日本に
存在するのであれば、わざわざ中国を刺激して関係を悪くしても何の意味も無い。
公開しなかった理由の推測は他に、これを交渉のカードとして手元に残しておきたかったという
理由が考えられる。公開しなければ、その内容が予想外に酷いものという推測も為される。
その公開は中国にとっても具合の悪いものかもしれない。公開せずにその存在を匂わせる事で、
中国の対日攻勢に対し束縛を与える事ができるのではないか、あるいは最高のタイミングで
内容を公開する事で、中国に打撃を与える事も可能なのではないか。


…といった事を思うので、やたらめったら公開すべきという主張にも疑問を感じていたりする。
公開するメリットは何か。中国人船長の悪行を白日の下にさらす事で、対応の正当性を公然と主張できる
という感じだと思うのだけれど、そうして船長の身柄が日本に引き渡されるという事まで
話が進む事はないだろう。中国が謝罪するかというとそんな国でもない。中国のイメージダウンを
狙うにしても、既にイメージの悪い国だからあんまりインパクトはない。
とにかく「公開する」というカードを切るからには何らかの実利があるべきと思うのだけれど、
現状のようなじわじわなし崩しに公開するような方法で果たして良いのだろうか。
それとも、カードの使い方を多党間でまとめるために、一部議員内で限定公開という手法を取ったのであり、
手順としては悪くないという話になるのだろうか。

尖閣諸島の領有権「問題」について

日本政府は一貫して尖閣諸島に領有権の問題は存在しないと主張している。
まあ一応それでいいんだろうと思う。メディアも中国の主張の不当性を機に応じて訴えている。


という事なのだけれど、どうもこの手の情報は、日本が正しいの情報しか入ってこない事に、
軽く懸念を持っていたりする。何しろ情報源が日本人ばかりだから、これこれの理由で
中国の言ってる事はおかしいんだよと日本人が言っていても、中国人が日本がおかしいと
主張する姿と相似して見えてしまって、どうしようもない胡散臭さが残ってしまったりする。


領有権の問題は、どちらかが引き下がった時点で決着が付くだろうし、引き下がらなければ
決着は付かないだろう。交渉の仕方によっては、そこで実際に交戦が起こる可能性すら
あると思う。何か正当性のありそうなでっち上げで戦争はできるのだし、まあ武力でないにしても
様々な手段によって何らかの権限を手中に収める事が向こうさんの希望なのだから、そういう意図を
理解した上で、日本は対応を進めていかなければならない、のだけれど。
日本の正当性を日本人同士で認め合ってるだけでこの問題が消滅する事は多分無いのだから、
それが領土問題でないと言うとしても(言う必要があるのだろう)、そのまま何の問題もないわけではない。


国家間の交渉というものは、正当性の根拠などを前提とした上で、1つ上の次元から
ものを見ていかなければならないのだろうと思う。我々の主張が正しければ自動的に尖閣
我々のものになるというわけではない。
などと当たり前の事を言ってみても仕方がないのだけれど。