少年たるもの

シンジ君は、意志薄弱で周囲に流されやすい、自分というものを持たない少年として理解されがちですが、
そういう状態だったのは、物語の最初期だけであったように思うわけです。
劇場版で彼はエヴァに乗ることを徹底的に放棄します。あれは確かに、ただ無気力に生きることを諦めて
いるように映るわけですが、しかし実際はあれは、意志的な、断固とした拒否であるわけです。
第一話の頃のシンジ君であれば、はいはいと素直に乗ってしまっていたわけですから。
半ば父親に騙される形で、友人をエヴァに乗って半殺しの目に遭わせてしまい、1回目の拒絶があったわけですが、
その後情にほだされるような感じで、またつい乗り始めてしまうわけです。そして迎えた結果は、
唯一の理解者であり友人であったカヲル君の殺害。前回とは異なり自分が承諾する形で。
自分にとっての正しい答えが出ないまま、大人に言われるがままに。


エヴァは不幸を呼ぶ道具であり自分の問題は何も解決しないと、彼にとっての一定の結論が出たわけです。
14歳という設定でしたか、彼は。その歳なら、これくらいがもう限界というか、もう十分だと思います。これ以上頑張れません。


はやりのライトノベルの主人公の少年像は、平凡・普通・常識人、なのだとか。
私のサンプルはそれほど多くないですが、いました、そういうキャラ。ほどほどに正義漢で、
何となく誠実だったり、真面目過ぎなかったり。
以上列挙した条件はすごく広い範囲を持っているように見えますが、共通しているのは何だか人間味がないということ。
魂が感じられない。一度道を外れてみても、最終的には理性に忠実で、人の道の通りに動いてる、動きにブレが無さ過ぎる。
主人公(脇役、というわけではないと思う)がそんなだと、私は「うーん…」とか唸りながら、首をひねりつつページをめくっていたりします。


中高生なんだから、もう少しバカでもいいんじゃないかなあ。
せっかくの作り話なのに、夢がないなあ、とか。