信じられないもの

人が迷信と信じるもののいくつかはただ単に権威が語ることを凡人が真に受けているだけのもので、
各個人がその存在の有無を慎重に検証して結論を出したというものでないことが多い。


根拠もなくただ「あるのだ、いるのだ」と主張する人間の言葉が信用できないのと同様、
根拠も述べずにただ「ないのだ、いないのだ」と主張する人間の言葉もまた信頼には値しない。


普段の生活において、それらの迷信を迷信と取り扱うことで事がうまく運ぶのであれば
あえてそれらを再検証する必要は感じられないかもしれないけれども、
しかしただ見えない、信じられないというだけの薄弱な根拠で迷信と呼ばれるものをないがしろに
するのは必ずしも得策ではないと私は信じている。


地獄を信じない人は多いと思うが、地獄の有無を確認した人間は現世にはあまりいない。
有るとは思えないが、無い根拠があるわけでもない。
しかし地獄に堕ちてから後悔するのでは遅い、ということ。


地獄というのは単に比喩であって、つまりは無知である自分に気付いていることが大切なのだと。