既得権益

役人の天下りや特定企業との癒着はいけないことだとする。
いけない理由は「公正ではないから」なのだとする。受注の機会が公に開かれなかったり、
税収を身内だけで環流させ、つまるところ公の資金を洗浄した後に私物化しているのと同様の状況になっているから。
しかし一応正当な手続きを踏んでいるために、必ずしも不法とは言えない場合、
倫理的な判断から、当事者にその既得権を放棄することを要求したいとする。


それを要求する資格が、私には、その他の人には本当にあるのだろうか。
不法ではない既得権を放棄することに不満を感じない人間などいるだろうか。
私はできれば放棄したくない。他の人は?


何の欠点も無くラクに儲かる話があるとして、それに飛びつかない人間がいるだろうか。
その瞬間、ラクをして儲ける人間と苦労して儲ける人間の格差が生じる。その格差が果たして不当なものであると認めるだろうか。
働いても貧乏な人間が世界にどれだけいるのか。日本人はそれを申し訳無いと感じないのか。
それを感じない人間が、天下りする役人を非難する資格があるのか。


…なんてことを、まあ、ちょっと言ってみたかっただけなのだけれど。
何を是とし、非とするかは、資本主義のアイデア・方針を基準にして考えるべきかもしれない。