しほんしゅぎしゃかいを見て思うこと

私は、以下に挙げるいずれかの理由等で、商品を購入する店舗を選択する。

  • 品揃えに優れ、そこに行けば私の求めていた理想に近い商品が手に入ること
  • とにかく値段が安く、そこに行けば概ね割高の金額を払ってしまう心配のないこと
  • 品質に優れ、粗悪品を掴まされる心配のないこと
  • 店員が礼儀正しい等で印象が良く、清々しい気持ちで買い物ができること

このような店舗の存在は私にとって有益であり、社会にとっても有益である。
私がこれらの店舗に対し積極的に経済活動を行うことで、優良な店舗の繁栄に
荷担することができる。不良組織は淘汰される。


資本主義経済の世界に生きる社会人には、より良い組織、より良い製品を
探し出し、その発展に協力する事が求められている。
これは義務ではない。しかし大人が意識すべき良識ではある。
資本主義という優れたシステムによって、殆ど労力を払わずに社会の質の向上に
貢献できるようになっているのだから、その仕組みを理解し、個人の行動を
有意義なものにする方が、幾分マシである。


意味も分からず「大手だから」「CMやってるから」という理由で目に付いた製品に
飛びつくばかりでは、愚か者との誹りは免れない。
「某大手企業の製品は平均的には品質が良く、安定して利用でき、市場から
優良な製品を探し出す手間が省かれ、有益である」といった明確な根拠を以て、
それを選択するべきである。
そして少し余裕があるのであれば、CMを打つ財力は無くとも先進的な、
あるいはコストパフォーマンスに優れた製品を有象無象の中から探し出し、
価値あるものを正当に評価する努力を怠らないのが望ましい。

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まあ、それはともかく、です。
以前、年を取った夫婦が運営していて、夜12時ぐらいまで開いてる小さな本屋が
近くにあって、非常に優しい気持ちになれる感じの人だったので、そこで買える本は
なるべく購入し、密かに応援する気持ちでいたのですが、しばらく前に閉店したのでした。
突然数日間休業し、復帰した後、月末で閉店という流れだったので、多分何か
営業を続けられなくなるような事情があったのだと思います。何にしろ、それ程
儲かってはいなかったのだろうなとは思うわけです。

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ミートホープの(元?)社長が言っていたこと。
「半額セールで(冷凍食品を)喜んで買う消費者にも問題がある」
この言葉、私は割と引きずっているようです。
お前が言うなという一億総ツッコミは置いといて、これに一定の真実を認める人も
少なくないのではと思います。
クズ肉を牛と偽っても安ければ飛ぶように売れる商品をぼんやり眺めていれば、
消費者を見下す気持ちも、真面目に相手をする方が馬鹿だという考えに至るのも
共感できる気がします。
私にしたって、牛肉と書かれたパッケージでクズ肉を食わされたところで、
「このコロッケを作ったのは誰だッ!! 貴様に料理をする資格はない!」等と
キレる筈も無いわけです。
牛肉だと思って食ってたんだろ? 安い出費で高い肉を食えた気分になって、
気がつかねえならそれで幸せじゃねえか、と言われたら、腹は立つものの、
私的にはあんまり返す言葉が無いのです。


安価であるという事は、私は本当に良いことだと思うのです。
もう一つ、真実に気付きさえしなければ、騙された事にはならないという考え方が
私にはあります。食中毒等の事件にならなかったのであれば、消費者の健康を
害した訳でもありません。あれー?八方丸く収まってる?なわけないけど。

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安い商品が出回る事の悪は、既存の生産者を駆逐してしまう事です。
安い商品は社会にとって有益です。だから、支持されます。
そして、既存の生産者は護られません。


老夫婦が細々と運営する小さな店舗などは、大手チェーン店の前には風前の灯です。
商品価格に倍も差があれば、店員の人柄がどうとかの問題でなく、私も安い方を
選択すると思うわけです。


まあ、仕方が無いとしか言いようがないのかもしれません。
その優しい店員の小さな店は、その社会(若しくは私)には必要とされなかったというだけの事なんでしょう、きっと。