呪術

飲み会というものは、ある種の呪術的な効果を期待して執り行われる儀式のようなものではないかと思った。
この場合に呪術と言っているのは、現代の呪術というようなもので。
例えば社員にスーツを着させるのも、この「呪術」と考えられる。基本的にはユニフォームとしての効果を
持つもので、会社への、集団への従属を肯定させる効果などがある。人の自由意思に干渉し、一定の抑圧を
加える作用がある。ネクタイを緩める事は、この術をある程度解くことでもある。
必ず必要なものではないけれど、この術を使うほうが組織は集団を御しやすいだろう。


飲み会や、XX式といったものは、これは「祭り」に近いものがあるなと思った。
組織に新しく入った人間に、自己紹介、あるいは何か特有の何かをやらせる習慣があるとすれば、
それはまさに通過儀礼というものだろう。
とにかくそういったどこか不可解なもので「仲良くなる」という効果をあげようという姿勢に、
呪術に通じるものを感じるなと思ったのである。


呪術であるが故に「非科学的」「超自然的」「理屈で語れない」といった匂いも感じる。
(もちろん科学的解釈はありうるだろうけど、きっとあまりシンプルじゃない)
理由は説明できないけれど、やめてはいけないもの、やめてはいけないと直観的に感じるものがあるのだ、
といった雰囲気も似ている。


何を言いたいのかというと、まあ今も昔も似たような事をやっているじゃないかということで。
何か迷信深いものを否定する人でも、現代に生きる習慣は否定したりはしないんだろうな、とか。