電子書籍について

電子貸本Renta!をその後も結構利用している。慣れてくると、PCモニタを通した読漫もアリかなと思えてくる。


少し前、漫画雑誌の一部をスキャナに掛け、PDF化して保存という事をやってみた。
富士通ScanSnap S300を持っている。漫画雑誌の読み取り程度なら、この程度の読み取り性能でも十分すぎるようだ。
http://www.scanbooks.jp/ のような、雑誌の裁断&業務用スキャナの貸し出しサービス等という物もあり、
本の電子化はやる気と多少のお金があれば、個人でもかなり気軽にできるようになっている。


いっそ、買った本は全て電子化して保存、という生活スタイルもあり得る事になるのだけれど、
そうなると心をよぎる思いは「紙がもったいねえなあ」である。最初から電子媒体で売ってくれれば、
こちらの手間も省けてとっても地球にやさしい、一石二鳥じゃないか、と思う。これは誰もが考えるだろう。


電子書籍として買うのであれば紙代が浮くわけだから、当然安く売ってくれるよね、というのが消費者心理だろう。
実際、安く売っている場合もあるのだけれど、そうでない場合もある。不満に思ったりもするのだけれど、
本来ならこちらで電子化する手間も省けて利便性も上がっているのだから、そこにケチをつけるのも
どこか筋違いな気がしないでもない。まあそれはともかく。


大抵の場合、電子書籍はガチガチにDRMで固められ、利便性が制限された物になりやすい。
この傾向は、少し見直しを検討しても良いのではないかと個人的には思う、というのは。
先に述べたように、実物の本の電子化というのはかなり簡単に出来、それ自体の違法性も全く無い。
そのように生成された個人的な電子化書籍はDRMの呪いからは完全に解放されている。
そんな現状があるのでは、DRMによる管理に苦心する事に本当に意味があるのか、という疑問が首をもたげるわけである。
DRMの束縛を逃れたデータが安易にネットに流れたりしないのは何故か、法と警察による保護機構が
機能しているからではないのか。とすれば、DRMによる管理はもう少し手を緩めても良いのではないか。
まあ…、これはあまり単純な問題ではないので、「DRM断固反対」というわけでもないのだけれど。


さて、それはそれ。大手の出版社もそろそろ、書籍の電子媒体による販売に着手して欲しいと個人的には
思うわけだけれど、多分色々、難しいのだと思う。というのは。
出版社は本を売る会社だ。本は、紙やインクでできている。書籍の電子販売を行うという事は、
紙やインクにまつわる行程を無くすという事であり、その行程に掛けていた人金モノに多大な影響を
与える事になる。出版社の規模が大きいほど、この影響は絶大なものになる。
その一方、電子化による販売というモデルは全くの新分野で、どんなリスクがあるかを読み辛い。
現状の業態で十分うまく行っているものを、何故わざわざリスクを冒して転換しなければならないのか。
…と考えれば、安定している大手の出版社がそのような新規事業を興さないのはある意味当然だと思うのだ。


そういうわけで、そういった博打事業を誰がやるかという事になると、小さい出版社やベンチャー
期待したいという事になる。そういう開拓者がある程度道をつけたところで、大手が乗り込んで
おいしい部分を持って行くという事になるのが世の常だけれど、ともかく、誰かが始めない事には始まらない。
でもここで難しいのが、流通経路を整えるのは前提条件であって、書籍の場合はその上で良質のソフトを
揃えなければ売れようがない。しかし現存する人気作家は紙媒体出版社によって押さえられていて
しまっており、この点でも新規事業者は苦労する事になる。人気作家を人気作家に育てたのはその
出版社なのだからそれもそれで当然の事で、それはもう何とかして何とかするしかないんだろう。


そんな事を考えていると、電子書籍の普及などはまだまだ先のお話だなと思えてくるのだけれど、
その需要は現実の供給レベルよりも高くあると思うので、やっぱもう少し野生の神か何かがどうにかして
くれないかと思ってしまったりもする。
とりあえず、電子化を強く望む作家と事業者が手を組んだりしてもらえないだろうか。