信仰

信仰は人を強くする。
信じるもののない人間は、精神的に常に不安定である。


若い人は宗教に批判的な人も多いようだけれど、私は、そういうのはまあ、浅い見方だと思う。
「宗教」の要因に反射的に批判する姿勢等は、十分に宗教的な匂いを感じる。
宗教に埋没する人は、他の宗教を強く批判する。「無宗教」という宗教もまた同様の物に見える。


とりわけ、長い歴史のある宗教は、その教えには歴史の中で修正され、洗練された智慧
込められていると思う。
布教する人間が語る言葉以上に、その教義には、人が共に生きるためのあり方の要所を
押さえたアイデアを含んでいるのだと思う。
ただ、現在の信者が戒律の意味を歪んで捉え、不適切な慣習が流行ってしまったり、
まあ、結局、絶対的に正しいとは限らない。
複数の宗教が現存し、それを矛と盾の話になぞらえれば、不完全な宗教が存在するのは
明らかではある。


自分が十分に信じられる存在であれば、自分を信じれば良いと思う。
自分を信じられない時は、何か他のものを信じる事ができれば、心は安定する。
自分が信じるに足りない存在であると本心では思っているのに、
自信があると自分を騙したり、何もかも否定するような考えでいれば、心は不安定になる。
無宗教」に教えはない。何かを否定する事を教えるだけで、人の生き方に
何らかの指針を与える事は一切ない。


色々な意味で、人には「足場」のような物が必要だと思う。
地球は宇宙にぽっかり浮かんでるだけで、ちょっとした衝撃で軌道が変わったり、大きな星の
重力に飲み込まれてしまうような儚い存在だけれど、そこに住む生き物にとっては十分
大きな存在である。
一方、人が母星を離れたり、破壊する事もそれなりに可能である。しかし、
宇宙に人が放り出された状態では、母星の破壊はおろか、自身の移動や命を繋ぐ事すらままならない。