〓5
あーだからさ。
要するにワケ解らんものは、全部神の御業ってことで納得しようよってゆうかさ。
今はいろんな解釈ができるようになって、ごく身近な現象で原因不明なものってのは
無くなってしまったんだけれど、昔は原因不明なものを神秘的なものとして、
畏れ敬う気持ちがあったわけだよ。
現在(いま)にしたって、身の回りの闇は払われたとは言っても、
決して世界の隅々まで見通せるようになったわけではなくて。
本当は神秘はちゃんと残っていて、隅に追いやられただけなんだね、うん。
神の力だと理解されていたものが、科学に詳細に暴かれてしまって、
まるで神は偽者だったかのように言われるわけだけど、
そもそもそれを神の力と見定めたのは、人間だったはずで。
勝手に崇め奉って貶められるんでは、神もまあちょっとうんざりって感じみたいな。
旧来の神の意義を大切にするならば、常に人の手の届かぬところにいるべきなんだよなと。
神をそういう、変動する領域を支配する存在として、
定義することで、神という概念を理解できるんじゃないかなとおもうわけだな。



〓6
「布石はどこに生かされていたのか?」
うん。なんか失敗して、そっちの方に話持ってこられなかった。
自然の法則と神の存在はそれぞれ、実虚の関係を持っているように思ったんです。
また、「因果応報」がまさに法則としての性質を持つものなら、
神は善悪を裁く者として、全知全能の機能を果たすということです。