何故人を殺してはいけないのか

という問いに人が強くこだわるのは何故だろうと、以前思ったことがある。
何故人の物を盗ってはいけないのか、という問いと基本的には同じなのだけれど、
後者の問いにはさほど深く考えずに悪と断じてしまう人が多いのではないか、と思う。


そんな事をふと思い出したのだけれど、今日また別の回答を思い付いたりした。
物を盗られた経験は比較的誰にでもあるのに対して、
命を奪われた経験はあまりないから、それに対する実感が伴わないのではないか。
人に物を盗られたときの不快感は、よく知っている。
命を奪われたときの不快感は、どれほどのものであろうか。


日々、報道でこれだけ多くの人間の死を眺めているにもかかわらず、
彼らの痛みを理解する事が全くできない自分に、少しだけ落胆する。