メガネ

昔から、男女問わずメガネびとが好きでした。


一時期からメガネが流行りだし、メガネ人口が若干増えたような印象がありますが、
この流れ自体は、個人的にはあまり面白いものでは無かったりします。


流行となる以前から、メガネをクールなものとして考えるおしゃれさんは一定数存在していました。
なぜメガネが格好いいのか。単純にセンスでそのように感じるという理由はあるのですが、
私はそれよりももう少し深い意味をメガネに見出していました。
昔は一般的に、メガネは素敵な装飾具とは考えられず、むしろ美しさを損なうものであるという
認識が持たれていたと思います。
そういう世界において敢えてメガネを使うという事、これが意味するものは何か、という事です。


メガネは人の顔の、表情が反映される目を覆ってしまうもので、装飾具としては強力なインパクトが
あるものです。それはそのままでは強く人を飾り立てすぎてしまうもので、極度に派手な指輪や
タトゥーのように嫌味を伴うものになりかねないのですが、しかし一方でそれは視力矯正のための
道具であるため「べ、別に掛けたくて掛けてるんじゃないんだからね!」という慎ましさがあり、
その嫌味を減殺している趣があります。
それでも、メガネがインパクトを持つのは事実であり、使用者のセンスが外見に強く反映される
道具です。故にこれに拘る事は、使用者がそのデザインに確信を持ち、他人の評価を恐れずに
自分の信じる道を進む意志の現れと見えます。
かつて外見上の理由からメガネが忌避された時代において、コンタクトレンズという無難な選択が
存在しました。(機能性の話を抜きにすれば)コンタクトレンズは全く無難な選択であり、
視力矯正においてそれを使用する事は勝負の回避であり、逃げです。もちろん誰もが外見に拘る
わけでは無いのですが、コンタクトレンズの選択もある中で敢えてメガネを選ぶという事は、
メガネの真の価値を見出し、世間の思想に流されない自分の美意識を持ち、それを実践していく
生き方を意味しているのです。


メガネは、その人の人生を表すものですらあったのです。
といった事で、個性的で自分にあったメガネを身につけている人に対しては、それだけで私は
好感を持つ事ができたのです、が。
最近は変にメガネが世間に受け容れられるようになったため、その意味は非常に曖昧なものに
なってしまいました。残念な事です。


昔からのおしゃれさんは、全く違うと思うのです。
世間に影響されて皆が格好いいと言うから格好良いと思ってるような軟弱なメガネ野郎とはね!